ひじきの煮物っていうじゃない、でもあれっていったい……

意外づくしの誕生秘話、ひじきの歴史は深い

「鹿尾菜」って何て読む?

みなさん、ひじきの煮物を一度は食べたことがあると思うのですが、漢字で書くとどういう字になるかご存知ですか? 実は「鹿尾菜」と書きます。「えっ、鹿のしっぽ? 意外だなぁ」と思われる方もいるかもしれません。これには深い訳があって、ひじきというのは、意外と歴史が深いのです。

なんと、平安時代に「ひじき」が!

江戸時代に書かれた「本朝食鑑」には、ひじきの植生から加工、産地について記述されています。それによると、「ひじきをくるくると丸めると鹿のしっぽみたいになる」という記述があります。そのようなことから「鹿尾菜」と書くそうです。思いきり当て字ですが、面白い逸話です。ちなみに、平安時代にまとめられた「伊勢物語」にも、在原業平が当時まだ珍しかった「ひじき藻」 を恋人に贈る場面が登場します。

これも意外!ひじきの産地

さて、ひじきの名産地は?と聞かれると困ってしまいます。国内産は1割から2割程度で、あとは韓国や中国から輸入されています。国内の産地で知られるのは三重県や千葉県、長崎県などです。国内産はもちろん天然モノですが、輸入品は養殖をしているものが多いということです。

たかが「ひじき」、されど「ひじき」

ひじきをつかむ思い…

ひじきは磯場に生育し、太さは太いもので5mm程度、長さは1mくらいに成長します。色は黒いイメージがありますが、海中に漂っているときは茶褐色をしていて、束になって生えています。磯で遊んで波を受けたとき、流されないように必死につかんだ海藻、それはおそらくひじきです。「藁をもつかむ思い」と言いますが、海辺では「ひじきをつかむ思い」になるのです。

口に入るまでも長い旅

ひじきの加工ですが、まず、鎌で丁寧に刈り取ったひじきをたっぷりの日差しで天日干しにします。そして、乾燥した状態のものを水で戻し洗います。このときに、塩抜きを行うことがポイントです。地域によっては、塩抜きをしない加工もあるようですが、だいたいは塩を抜くそうです。

つぎに、水洗いしたひじきをゆでます。実に、半日かけてゆでて蒸らすことによって繊維がやわらかくなり食べやすくなるのだそうです。そして、異物を取り除きながら再度乾燥させ袋詰めにして、店頭に並ぶという訳です。たかがひじきですが、されど「ひじき」ですね。

驚きの栄養成分で食生活を豊かに

カラダにいいこといっぱい

ひじきを食べると頭髪が黒々してふさふさに…なんて、よく聞きます。本当なのでしょうか? ここで、ひじきに含まれる栄養成分を見てみましょう。

まず、カルシウムが豊富だということが一番に言えます。100g当り含有量は、干しひじきが1400mg、牛乳が110mgで、実に牛乳の10倍以上あります。子どもはもちろん、妊婦さん、骨粗しょう症が心配な高齢者にもぜひ取っていただきたい食品です。

食物繊維や鉄分も!

そして、お通じに良い影響を及ぼす食物繊維、100g当り含有量は干しひじき43gで、約半分が繊維です。これは、同じように乾燥させる切干し大根に比べても倍以上に多い数字です。さらに、鉄分に至っては「煮干し」の3倍の含有量を誇り、レバーなどより効率的に鉄分を取ることができます。ひじきを食べれば、毛髪や免疫力強化、疲労回復、貧血などに効果があり、心の安定作用にも良いということが知られています。

ひじきといえば「煮物」というイメージがありますが、実は油と相性が良く、肉や魚との炒めものや、揚げ物にも良いことが知られています。ぜひ試してみてください。新しいレパートリーで、健康維持に役立てましょう!


参考:

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