越前そば、へしこ、焼き鯖。福井の郷土料理を味わってみませんか?

暖流と寒流がぶつかる、豊かな漁場をもつ若狭湾からの魚介類と、良質の水にはぐくまれた農作物に恵まれた福井県には、昔から伝わる数々の郷土料理があります。素材の良さを生かした、味わい深い福井のふるさとの味に触れてみませんか?

越前そばから丁稚ようかんまで:福井の郷土料理

・越前そば(おろしそば)

北緯36度線から38度線のあたりでは、品質の良いそばが育つといわれます。北緯36度線上に位置する福井のそばは、そば通の間でも有名なおいしさ。昔ながらの石臼びきでの製粉も、そのおいしさの秘訣です。

福井の玄そば(黒っぽいそば)に大根おろしを添えた、シンプルなそばが「越前(おろし)そば」です。昭和天皇も、昭和22年に福井を訪問されたときにこのそばを召し上がり、大変お気に召されたとか。

・里芋のころ煮

山からのおいしい水や豊穣な土など、恵まれた自然条件の中で作られる大野市上庄の里芋は、身がこまやかで煮くずれせず、ふつうの里芋とは一味違うおいしさです。おでんや汁物、田楽など、いろいろな料理に使われますが、しょう油でシンプルに煮る「ころ煮」は、ほくほくと甘い上庄里芋の良さを最大限に生かしています。

・さばのへしこ?

「へしこ」とは、魚を塩漬けにした後に糠で漬けるもので、江戸時代から若狭地方に伝わる保存食です。さばで作られることが多く、他にはいわし、ふぐ、いかなどでも作られます。寒い冬に仕込まれ、できあがるのは秋以降と、じっくりと時間をかけて熟成されます。

「へしこ」という名前は、地元で樽に漬けこむことを「へし込む」ということからつけられたそうです。濃厚なうまみのある味わいで、刺身にしても、かるくあぶってお酒のおつまみやお茶漬けにしてもおいしく、最近では健康食品としても注目されています。

・越前ガニの鍋?

福井県を代表する名産品といえば、やはり「越前ガニ」でしょう。「越前ガニ」とは、福井県沖で水揚げされるズワイガニのことで、越前、三国、敦賀、小浜で獲れたズワイガニにだけ「越前ガニ」のしるしである黄色いタグがつけられます。

越前海岸沖は、海の中の地形や極寒の冬の冷たい海水が、カニの生育によい条件を作っているため、おいしい「越前ガニ」が育つそうです。

冬の味覚の王者、「越前ガニ」は、みずみずしく繊細で甘味のある味で昔から愛されてきました。シンプル、かつ豪快な鍋は、人気のある食べ方の一つです。

・焼き鯖

若狭湾産の鯖は古くから京の都にも運ばれていました。鯖を使った料理はたくさんありますが、脂の乗った鯖を串にさして丸ごと焼く、小浜の(浜)焼き鯖は有名です。

大野市のあたりでも、7月上旬の「半夏生(はげっしょ)」に焼き鯖を食べる習慣があり、「半夏生鯖」といわれます。これは昔、大野藩の殿様が、田植え後で疲れた農民に滋養のあるものを食べさせるため、傷みやすい鯖を焼いて浜から運ばせた、ということに由来するそうです。

生姜じょう油や大根おろしで食べるほか、祭りの時などに、焼き鯖を使ったちらしずしがごちそうとして作られてきました。最近は焼き鯖を使った焼き鯖寿司が、全国的な人気を集めています。

・すこ

昔から、秋から冬の保存食として作られてきた、里芋の茎を使った酢漬けで、真っ赤な色が目をひきます。里芋の名産地の大野市でとれる、赤ずいき(八つ頭芋)の茎が使われます。秋祭りや、浄土真宗の大切な行事、報恩講の精進料理として、福井県では古くから作られてきました。しゃきしゃきとして、甘酸っぱいおいしさです。

・丁稚ようかん?

「水ようかん」は夏の和菓子というのが一般的ですが、若狭地方では「でっちようかん」は冬に食べられます。他県のものより、砂糖や寒天の量が少ないので、柔らかく、みずみずしいのが特徴です。保存がきかないので、寒い冬にしか作られず、福井県では家族でこたつに入って「でっちようかん」を食べるのが、冬の風物詩です。

海と山にはぐくまれた豊かな食文化

「越前ガニ」のように全国的に有名なものから、「すこ」のように他県の人間はあまり耳にしたことがないものまで、素材も料理法も独自の郷土料理の数々。その背景には、海と山にはぐくまれた豊かな食文化があることがうかがえます。


参考:

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