
魚・貝のはなし
うま味と栄養がぎっしりつまった昆布でネバーギブアップ!
古来から日本人に親しまれている「昆布」は、奈良時代の歴史書に記録が残っているくらい歴史があります。和食には欠かせない昆布ですが、日本人に不足しがちな栄養を補う意味でも、とても大切な食材です。うま味と栄養がぎっしりつまった昆布の魅力をご紹介します。
生命の源、海の恵みをたっぷり
昆布には、体の調子を整える栄養がたっぷり含まれています。多くの日本人に足りないといわれているカルシウムは、牛乳の約6倍(100gあたりの数値)も含まれています。カルシウムは、歯や骨を作る大切な栄養素。育ちざかりのお子様や、骨粗しょう症が心配な方にもおすすめです。
「第6の栄養素」と呼ばれる食物繊維は、ごぼうの約5倍(100gあたりの数値)、さつまいもの約8倍(100gあたりの数値)も含まれています。特に昆布のネバネバ、ヌルヌル成分は、水溶性食物繊維であるアルギン酸とフコイダインがたっぷり。余分なコレステロールを減らし、腸の働きを活発にして便通を良くする効果があります。
他にも基礎代謝を高めるヨウ素は、食品中トップレベルの含有量。お子様の体や知能の発育を促進させる働きがあります。肉食などで酸性に偏りがちな現代の食生活のバランスを整えるアルカリ性食品です。
体にもおいしい「とろろ昆布」と「おぼろ昆布」の違い
和食の“だし”によく利用される昆布ですが、昆布をまるごと食べた方が、その栄養をしっかりと摂取できます。代表的な昆布の加工食品に「とろろ昆布」と「おぼろ昆布」がありますが、2つの大きな違いは、その加工法にあります。
機械加工の「とろろ昆布」
酢に漬けた昆布を平らに積み重ねて、機械で糸状に細く削って作ります。椀に入れると「とろり」と溶けることから「とろろ昆布」の名前が付いたといわれています。
職人による手すき加工の「おぼろ昆布」
酢に漬けた昆布を職人が専用の包丁を使って、1枚1枚表面をすくように削って作ります。使う昆布は、肉厚で表面が平らな高品質の昆布。できあがった昆布が「おぼろ雲」に似ていることから「おぼろ昆布」の名前が付いたといわれています。
「とろろ昆布」「おぼろ昆布」のおいしい食べ方
昆布は、うま味成分の1つであるグルタミン酸が豊富です。グルタミン酸を舌で感じると、脳が「おいしい」と感じて満足感を得られます。このうま味の作用を上手に活用すると、醤油や塩を減らせます。「ちょっとひと味足りないかな?」と思ったら、昆布を加えてみてはいかがでしょうか?
風味が豊かなお吸い物「おぼろ昆布汁」
椀に入れたおぼろ昆布にお湯を注いで、醤油を少々垂らすだけ。とろりとした口当たりと、昆布の香りがお口の中でひろがります。
うどんやそば、豆腐のトッピングに
うどんやそばの鰹だしとおぼろ昆布は相性が抜群です。鰹のうま味成分であるイノシン酸と昆布のグルタミン酸の相乗効果で、おいしさがグンとアップします。冷や奴や湯豆腐のトッピングにもぴったりです。
昆布は「よろこんぶ」という語感から、縁起の良い食べ物とされてきました。体も味覚も喜ぶ、“元気パワーいっぱい”のおいしい昆布を食卓に取り入れてみませんか?
参考: