魚の臭みを取る「立て塩」

魚の臭みを取る「立て塩」

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魚料理の下ごしらえで重要になるのが「臭み取り」。熱湯をかけたり、塩をすり込ませたりなどの方法がありますが、昔から使われているのが「立て塩」という方法です。ポイントは海水と同じ濃度の塩水を作ること。開いた後の魚や貝の臭み取りにおすすめです。

アジを使った「立て塩」

材料

  • アジ 1尾
  • 塩 15g
  • 水 500ml

 

手順

  1. アジは内蔵と頭を取り、開きにさばく。アジの開き方はこちら
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  2. 流水で残った内蔵や血合いを洗い流し、キッチンペーパーで水気を丁寧に取り除く。
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  3. バッドに水500ml、塩15gを入れてよくかき混ぜて塩を溶かす。
  4. 開いたアジを入れ、一晩冷蔵庫に置く。
  5. 調理するときは水気をキッチンペーパーでしっかり拭き取る。焼き魚やフライに便利。

身が薄い開きには振り塩より立て塩がおすすめ

魚の臭み取りで最もポピュラーなのが「振り塩」です。ところが、アジの開きのように、食べる部分の身が薄くなっている場合は、塩加減が難しいことがあります。塩を振りすぎてしまい、でき上がりが塩辛くなってしまうことも。そこでおすすめなのが、今回ご紹介した「立て塩」です。塩水に付けることで全体にむらなく塩がまわり、調度良い塩加減に。水と混ぜることで塩がまろやかになり、お魚もおいしく調理することができますよ。

ポイントは海水と同じ塩分濃度

立て塩に使用する塩水は、海水と同じ濃度に作ることがポイントになります。塩分濃度は3%程度を目指しましょう。魚介の体液に近い3~4%の食塩水で洗うことで、うまみが溶け出すのを遅らせる効果があるそうです。3%の塩分濃度を作るには、500mlの水に対し、大さじ1杯程度が目安になります。

立て塩の由来

立て塩の「立てる」には、よくかき混ぜて調理をするといった意味があるようです。そのほかにも、「魚が立つ(元気)になる塩水」、つまり海水に近い状態を指すともいわれています。

塩を使ったいろいろな下ごしらえ

塩には臭み取りのほか、身を引き締めたり殺菌をしたり、さまざまな効果があります。立て塩以外の塩の使い方をご紹介しましょう。

  • 紙塩
    魚介を水や酒で濡らした和紙で巻き、その上から塩を振ること。和紙の水分で塩が溶け、素材にむらなく塩味をつけることができる。
  • 化粧塩
    魚を塩焼きにするときに、焦げにくくするために、焼く直前に塩を振ること。強火で焼くことで塩が白く浮かび上がり、香りが良くなります。
  • 呼び塩
    塩漬けされた素材の塩抜きをするときにオススメの調理法。1~1.5%程度の塩水に漬けることで素材の表面と内部の濃度差が小さくなり、塩が抜きやすくなる。

 

塩に使い方を覚えておけば、魚料理はもっとおいしくなります。素材や調理に合わせて、塩を上手に活用しましょう。

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越前かに問屋ますよね 店長兼仲買人 橘高 友樹

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